マイナンバーはいらない

post by okuyama at 2016.04.10 #112
対政府交渉

社会保障・税番号(マイナンバー)制度の
実施に伴う疑問に関する 政府への質問とその回答(第2回)

 共通番号いらないネットは2016年2月12日、参議院議員会館101会議室で関連府省庁と「交渉」の場を持ち、以下のような質問に対する各府省庁からの回答を得ました。
 この「交渉」は2015年12月14日の第1回に続くもので、今回は民間企業などから「マイナンバーの提供を求められた時の問題などを中心とする質問に対して、内閣府・内閣官房・国税庁・総務省・厚生労働省・個人情報保護委員会の回答を得ています。

政府への質問・要請項目とその回答(第2回)

第1回対政府「交渉」の報告は »ここをクリック
まとめ・文責:共通番号いらないネット事務局
報告全文および政府配布資料のPDF版ファイルダウンロード
»リンク一覧はここをクリック

●もくじ(個人情報保護委員会は随時回答)
»内閣府・内閣官房
»総務省
»国税庁
»厚生労働省

<内閣府、内閣官房>

1-1 提供者と収集者の法的関係について

1-1-1 個人番号の提供者と収集者(個人情報関係事務実施者)には、番号法においては提供についても収集についても法的義務が課されていないことを確認されたい。
➡回答:番号法は基本法的性格で、個別の番号の提供義務や収集義務を定めてはいない。ただ、番号法の基本理念に則って制度に協力いただくという努力規定を設けている。
1-1-2 前回のやりとりにおいて提供者には法的義務が課されていないが、収集者には法的義務が課されているという表現が幾度となくなされた。個別法について法的義務と解釈される根拠法文をすべて明示してほしい。
→内閣府、内閣官房、国税庁、厚労省、総務省
➡回答(厚労省):法的義務が課せられている根拠条文については、本日資料を持参した。
*注:政府提供資料「(d)雇用保険関係の事業主向け資料(概要リーフレット)」のこと。»Note参照(pdfファイルでダウンロード可)。
➡回答(国税庁):配布した資料を参照されたい。
別紙2は、提供者に告知義務を規定している法定調書、代表事例は株式譲渡の支払調書。
別紙3はその一覧。法定調書については、法律上個別に必ず住所、氏名、番号の告知を受けて確認が必要という規定。
別紙1は、収集者にのみ義務を規定している国税関係書類で、これは受取側の義務が規定されていないもの。代表例は、報酬料金等の支払調書で34の法定調書を示させていただいた。
全部に告知義務があるのが原則だが、広く様々な事業者が通常の経済取引をするその全てに義務付けすると負担が大きくなる。金融機関などでいえば、元々金融取引等で契約書を交わしているとかで確認出来ている。
*注:政府提供資料「(a)国税庁 告知義務+別紙1~3」のこと。»Note参照(pdfファイルでダウンロード可)。「個人番号について、収集者にのみ収集義務を規定している国税関係書類」pdf1枚、別紙1「告知義務のない法廷調書一覧」pdf3枚、別紙2「提供者に告知義務を規定している法廷調書」pdf1枚、別紙3「個人番号の告知義務のある法廷調書一覧」pdf2枚)として、1つのファイルにしてアップしました。
➡回答(総務省):資料として「特別徴収義務者が従業員等の個人番号を記載する必要がある地方税関係書類」を皆さんに配布する。地方税関係では告知義務はない。あくまでも収集者が個人番号を記載する必要があるということで、給与支払報告書、公的年金の支払報告書等4種類がある。
*注:政府提供資料「(b)番号記載要する地方税書類」のこと。»Note参照。「特別徴収義務者が従業員等の個人番号を記載する必要がある地方税関係書類」から始まり、届け出書類を含む。
■再質問:基本法である番号法において、基本的理念として提供者にも収集者にも義務を課していないのに、個別法において義務を課すというのはおかしいのではないのか。本来基本法において課していない義務を個別法には規定すべきではないと考えるがいかがか。
➡回答:そういう考え方を採っていない。個別法において義務を課すことが適当かどうかは、それぞれの個別法において判断される

1-2 特定秘密保護法の適正評価には、共通番号法19条の12の提供はないのかどうか?マイナンバ-は記載されない?

➡回答:福島(みずほ)先生から昨年5月22日に質問主意書で同趣旨の質問がされ、「特定秘密の保護に関する法律12条の規定による適正評価の実施においては、現時点で特定個人情報を利用する必要はないと考えている」という回答を差し上げている。・・・法律上この利用事務に規定するということが将来的にあればそれは利用できるようになるわけです。現状の条文上ではできないという事です。
■再質問:番号法19条の12で、マイナンバー付きの情報が取れるのではないか。
➡回答:この条項は「刑事事件」の捜査で、公安事件の捜査では適用されない。

1-3 企業と契約して、従業員から番号を収集、管理、提供を業務とする商売が多数ある。スマホから送信する。返信用封筒で送付する。ネットから返信するなど多様なパターンがある。

1-3-1 従業員が、その企業に番号を提供する場合、特定個人情報を保護する担保はどのように確保するのか。(その会社は信用できるのか)
➡回答:番号法11条で、委託する者は委託先の監督義務を負うとなっている。また、安全管理に問題があれば個人情報保護委員会が必要な指導助言を行うとされ、そういう形で安全性の確保、適正な取り扱いの確保を担保している。
1-3-2 どのような企業でも「マイナンバー」を扱う事業をすることが可能なのか。一定の登録が必要なのか。また、その企業の信頼性は、どのように保証されるのか。その企業から番号が漏えいすることはないのか。
➡回答:受託事業は民民の関係で、役所への届け出や許可という制約はない。番号法12条で適正な管理のための必要な措置を講じるとしている。絶対漏れないかとはなかなか申し上げられないが。
1-3-3 提供を依頼された当該従業員が、依頼先に、雇用主の依頼があるのか、契約書の写しの提示を求めることは可能か。また管理の安全性を質問しても良いのか。
➡回答:ダメという規定がないのでしていただいて差支えない。

1-4 テレビのコマーシャルで、「マイナンバー検定」なる宣伝がされている。「検定」というからには、何か国家資格のようなものがあるのか。あれば具体的に説明してほしい。また、誰でも「検定」という言葉を使って商売ができるのか。

➡回答:国家資格としての検定はない。

1-5 個人番号関係事務実施者とは、どの範囲をいうのか、当該企業、法人、個人が依頼または、承諾して「マイナンバー」の収集、法定書類への記載、管理等を行うすべての対象者をいうのか。上記の収集、管理、提供を行う企業などもその定義内に含まれるのか。

➡回答:番号法2条13号に定義がある。委託を受けた者も個人番号関係事務実施者。

1-6 (複数の省庁にまたがる質問)国、地方自治体、年金機構、労働行政等で、マイナンバーの利用が始まると、システムはどのように変わるのか。

➡回答:
  ○国税におけるシステム変更は国税庁
  ○市町村ごとの情報連携は内閣府
   政令で施行時期を決めることになる。来年7月からの予定。
  ○市町村国保、健保の加入、脱退は厚労省
   資格取得時のマイナンバー記入、情報提供・照会が可能になる。
  ○課税のシステム変更は総務省
   地方税関係のシステム改修は必要、都道府県、市町村の改修は
   昨年準備した。

1-7 健保へのマイナンバー利用について

1-7-1 健保で被扶養者だった者が、収入によっては健保から脱退し、市町村国保または健保への加入が義務付けられてくると思われるが、マイナンバー利用によってその精度はどの程度高まるとみているか。
➡回答(厚労省):試算していないが、適用事業所に新たに就労し、他の医療保険者の被保険者になる場合、それと就労しないが被扶養者の収入要件を上回り資格喪失し国保に加入する場合が考えられる。
後者は国保加入時に健保の資格喪失証明書を情報提供ネットを通じて取得が可能となり、申請者の負担が軽減される。
1-7-2 副収入を得ている収入分でも、応分の健保加入が必要とされているが、マイナンバーの活用により、どの程度の加入者増、保険収入増を予定しているか。
➡回答:厚労省:結果的に加入者増や保険料収入増を期待できるが、個別に試算はしていない。
1-7-3 マイナンバー活用により、パート、アルバイト、副収入を得ている人が、勤務時間を減少させたり、勤務を止めたりするリスクはあるとみているか。
➡回答:これまで真面目に手続きされていた方には、こういうリスクはない。
1-7-4 その結果、従来のシステムと、変更後のシステムで、費用対効果はどのようになるのか。
➡回答:定量的に示すのは難しい。民間には仮定での試算はある。運用が始まったら国民の皆さんに分かりやすく示そうと考えている。なお、民間によると、少ない試算でも数千億、大きな効果試算で2兆とか3兆と公表されている。また、導入には約3千億となっている。

<総務省>

2-1 J-LISの情報公開のあり方について

2-1-1 通知カードがJ-LISのプログラムエラーにより葛飾区約5000世帯について作成されなかった問題について、高市総務大臣は1月4日の閣議後記者会見で、原因について「J-LISのシステム運用上のセキュリティの問題や、国の機関ではなく「地方共同法人」というJ-LISの性格を考慮した上で、総務省の側から詳細についてお伝えするということについては、差し控える」と説明している。
新聞報道では葛飾区からの問合せに対してもミスの原因説明を拒否したと報じられ、J-LISの情報公開のあり方について疑問がある。
➡回答:葛飾区に対し適切に対応していないという報道がされたが、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)に確認したところ、担当部長が直接足を運んで葛飾区の疑問に丁寧に回答していると聞いている。
2-1-2 J-LISは自治体の中間サーバプラットフォームも運営する機関であるが、私どもの昨年12月14日の質問への回答では自治体から情報提供が足りないという指摘はないと回答されたが、市区町村の中には特定個人情報保護評価において中間サーバの内容がわからないため評価ができないと指摘しているところもある。
情報公開が不足しているのではないか。
➡回答:自治体の特定個人情報保護評価で中間サーバについての質問は、調べたが数件だった。必要な情報は提供しており、評価についても記載例を平成26年8月に文書を出している。連絡先も明記しており教えてほしいということがあればいつでも相談いただける。
2-1-3 市民にとっても、全住民の特定個人情報を一括管理する中間サーバプラットフォームや、個人番号カード交付のために顔写真データを含む個人情報を管理するJ-LISで個人情報がどのように扱われるかは、自己情報コントロールの保障という番号制度の目的に照らしても重要と考えるが、情報公開請求の仕組みをつくるべきではないか。
➡回答:J-LISは地方公共法人と共同して設立運営している地方公共法人であり、国の指導監督等も限定的に法律上規定されている。国の情報公開制度や地方自治体の条例による情報公開の対象とはなっていないが、独立行政法人の情報公開法の規定に従った形で規定を設けて情報公開に対応している。マイナンバーの生成やセキュリティの観点から、情報公開に一定の限界はある。

2-2 送られてきた通知カードの名前のふりがなが違っている。何を基に通知番号カードを作成したのか。どこからその呼び名を持ってきたのか。訂正を申し出れば簡単だが、なぜそうなったのか明らかにされたい。

➡回答:ふりがなは通知カードではなく、個人番号カード申請書ではないか。これは住基台帳を元に記載しているが、住民票の記載事項ではなく、協力をいただくことになっている。ということで正しい読みになっていない場合がある。番号カード自体にふりがなはないので、点字の方の場合には修正させていただく。

2-3 通知カ-ドの送付を住民の居住確認に使うと言って職権消除まで住民に伝える自治体の行為は問題ではないか。

➡回答:通知カードが届かなかったことで直ちに住民票を消除という趣旨ではない。住基法では、市町村長が住基台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行われるよう努めるという規定。職権による住民票の消除等には、その住民の居住実態等について調査するのが前提だ。

2-4 J-LISは、個人番号カード申請された写真、個人データを15年間保存。J-LISから印刷会社にカード作成依頼があると、印刷会社は、写真、個人データを1ヶ月間保存して破棄することになっているとのこと。
印刷会社が破棄したかどうかのチェックや報告、監査は、不明のようだが、情報漏えいを防ぐうえでも、J-LISが保有するデータを他者、他所に提出した場合のチェック制度を確立すべきではないか。

➡回答:保存はそのとおり。契約事業者とは情報セキュリティ監査を定期的に実施することを義務付けている。適切に履行されなければ契約解除もありうる。

<国税庁>

3-1 2015年12月24日に閣議決定された2016年度税制大綱において、マイナンバーを省略できる書類の一覧が示された。

3-1-1 税関係処理としてはかなり膨大だが、逆にマイナンバーの記載を必要とする税関係書類を列挙してほしい。
➡回答:マイナンバーの記載を省略する書類の一覧は財務省のホームページに公表されている。記載を要する書類一覧(案)を今から配布する。
*注:政府提供資料「(c)(マイナンバー)番号記載を要する書類の一覧(案)」のこと。»Note参照(pdfファイルでダウンロード可)。
3-1-2 一度税務データ上でマイナンバーと紐付けされれば、実際のマイナンバー記載は必要なく処理可能なのではないのか。個人番号の記載がなかった者に対してはJ-LISからデータ提供を受けられるということは、税務については納税者からの番号申告は必要ないのではないのか。
➡回答:マイナンバーが記載されていない申告書が提出された場合、税務署において、当該税務署のマイナンバーを確認する事務が生じるなど、法の目的である行政運営の効率化が図られないことになる。

3-2 証券会社や銀行がマイナンバ-を要求しているが、実態的に金融機関による顧客への義務(強要)になってしまっている。預貯金のマル優設定や証券会社の口座については個人番号の提供がなければサービスを受けることができないのか。もしそうだとしたら、番号の有無でサービスが受けられなくなることはないというこれまでの姿勢と矛盾することになるが、いかがか。これは個別法において義務化しているからなのか。他にも同様の事例はあるのか。
○具体例として、

①岡三証券に、母の住所変更をしようとしたところ、マイナンバーを登録しないと、手続きできないと言われた。岡三証券では、今年の1月1日以降は、マイナンバーを登録を拒否したところ、手続きが停止になった。

②京都中央信用金庫でも郵便局でも、年末に、1月1日以降は手続(住所変更)にはマイナンバーの記入が必要と言われた。

このようなケースは相当数にのぼっている。

➡回答:平成28年1月以降、証券会社に特定口座開設時提出する開設届出書には個人番号を記載することとされている。租税特別措置法により届出書には、氏名、生年月日、住所、個人番号が記載された本人確認書類を確認し、内容が一致しない場合には書類を受理してはならないとされている。また、証券会社は特定取引報告書を税務署に提出する、それに個人番号記載するので、口座開設者に求めることになる。なお、住所変更では義務とされていない。
また、27年以前の特定口座やNISA*注 開設者の異動では求めることもある。マル優については、28年1月以降新規預け入れで非課税貯蓄申告書、申込書に記載しないと、マル優は適用されない。ただ、28年度税制改正がされれば、申込書には記載が不要となる。
*注:NISA 2014年1月からニーサ=少額投資非課税制度がスタート。株、投資信託などの運用益や配当金を一定額非課税にする制度。2016年1月から、毎年120万円までの非課税投資枠が設定され、投資金額120万円分までの株式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金(分配金)が非課税。
■再質問:預金口座のマル優設定について、来年4月から番号記載の省略できる書類に該当している。今年1年は番号記載がないとマル優設定できず、来年4月以降は省略できるということか。
➡回答:<国税庁>法案が成立すれば4月1日以降は記載しなくともよい。
■再質問:それって漫画ですよね。今マル優取るのにどうしても必要だとしておきながら、改正法ができたら必要なくなるということでしょう。今必要だと言っているのはどういう意味ですか。
➡回答:現行は番号を記載する法律になっている。
■再質問:結局必要ないものを今書かせようとしているということでしょう。
➡回答:見直しをして法案を出している。法案が成立すれば書かなくてもよくなるが、今は必要という回答しか出来ない。
■再質問:基本的に税についても社会保障についても、個人番号がなくても従来受理された申告書や受けられたサービスが受けられなくなることはない、ということでした。ところが、番号の提供がないとマル優枠や株の特定口座の設定などはできなくなるという。しかし、マル優だったら1年経ったら番号は省略できるようになるという。この点を明らかにしていただくとともに、個人番号がなくてもちゃんとサービスは受けられますよとこの場で言明してほしい。
➡回答:マル優(350万円)だが、口座開設時に「非課税貯蓄申告書」を提出、次に実際に預金する時に「非課税貯蓄申込書」の提出。今回の改正案では「申込書」に番号を記載しなくてもよいとするが、「申告書」については従来どおり番号は記載が必要。証券会社の特定口座は記載しなくてもいいとはならないので、記載が必要。
■再質問:財形貯蓄についてはどうか。
➡回答:財形の申込書には番号記載は必要。
■再質問:これまで厚労省は「番号記載がなくても受け取る」としているが、では国税庁はどうか。
➡回答:先ほどの通り、税法上番号記載を確認し、一致していないと受理できないと規定しているものがある。マル優や証券の特定口座など、NISAも。それ以外は受理できないという規定がないので、記載がなくても受けていただくことになる。生命保険金の受け取り、国外送金も番号を提供いただく、つまり義務が課されているものと課されていないものの2種類がある。
*注:この項については、財務省サイトの説明と2月12日の口頭説明、および政府側提供資料の内容とが、完全に一致していないので調査中。なお、2月12日の政府側提供資料はすべてPDF化し公開していますので(»Note参照)、内容に関するご意見やアドバイスがありましたら、ご連絡ください。
■再質問:法定調書が3年間猶予されているもの、特定口座など1,100万口座ある、これらは免除し、一般市民には義務付け、これは何故か。
➡回答:例えば配当などは半年に一度とかが継続する、その場合にはこれまでも「みなし告知」という規定がある。最初に告知していればあとはいい、全部の顧客に基準日ごとに番号提出を依頼し、顧客も提出するのが大変ということによっている。
■再質問:3年とかの猶予期間が過ぎた後、金融機関などの現場は混乱するのではないか。18年からの口座開設時の任意告知も同様だ。猶予を広げるとかはないのか。
➡回答:みなし告知など従来からの制度があるものは個々に判断し、原則は支払調書に該当する取引については番号が必要という原則に変更はない。

3-3 個人番号利用~給与支払報告書の名寄せについて。複数の企業に勤務しているものの合算と市県民税の計算、配偶者控除の適否、扶養控除の適否(子供のアルバイトなど)には、今までは、市町村の市民税課において名寄せし、三税協力体制(国、県、市町村の協議)で税務署に通知され、税務署の管理徴収部門からの是正通知で、修正されてきました。
扶養控除、配偶者控除、の是正実績が統計で分かれば教えてください。調査に要した時間、是正件数、是正額(所得税、市県民税)など。

➡回答:市町村からその市町村の所轄税務署に対して、扶養控除や配偶者控除等の適否について情報提供を受けた場合について、給与所得者の所轄税務署から給与支払者である源泉徴収義務者に対して、扶養控除等の是正通知を送付する。この場合に是正通知に係る扶養控除や配偶者控除の是正実績については公表資料はない。
➡回答(住民税について総務省から):調査に要した時間、件数、是正額は把握していない。
■再質問:法の趣旨に照らして費用対効果はどうか、なぜ公表出来ないかというのが質問だが。
➡回答:定量的なものはなかなか難しい。今後、定量的費用対効果は政府全体として検討しながら示すことになると考えている。

3-4 税務申告等とマイナンバーの関係について

➡回答:給与計算、年末調整、給与支払報告書の作成、個人の確定申告、健保、厚生年金の加入・脱退、労働保険の取得、喪失などの手続きについて、マイナンバーの記載が求められている。企業内の担当者のほか、士業関係者がその対応にあたっているが、企業は必ずしも専門士業ごとに依頼しているわけではない。税理士をはじめ、農協税務指導員、青申会、商工会議所指導員、社労士、労働保険事務組合、行政書士、司法書士などの援助を頼んでいる場合が多い。また上記の様なクラウド契約の場合もある。
この場合、個人番号関係事務実施者として、当該企業との契約書を結んでおけば、「マイナンバー」の取り扱いができるものと解してよいか。
➡回答(個人情報保護委員会):委託契約があれば、その範囲内でマイナンバーを取り扱える。
■再質問:商工会議所とかが税務申告を代行している実態がある。どう思うか。TVなどで宣伝している企業なら信用出来るとか、認定などがあるのか。
➡回答(個人情報保護委員会):1点目は国税庁の見解を聞かれたい。2点目は番号収集サービスについて認定とかはしていない。CMをしているかどうかでなく、サービスが信用できるか、安全管理措置が適切かなどの観点で選んでいただく必要がある。

<厚生労働省>

4-1 2015年12月18日に更新された雇用保険関係の事業主向け資料*注 で、

Q1 マイナンバーを記載して届出ることは義務なのですか?
A1 はい。事業主は、番号法および雇用保険法に基づき、雇用保険手続の
  届出に併せてマイナンバーを届け出ることが義務づけられています。

と書かれているが、番号法の何条で義務づけられているのか、説明されたい。

*注:政府提供資料「(d)雇用保険関係の事業主向け資料」のこと»Note参照(pdfファイルでダウンロード可)。
➡回答:番号法14条に、事業主は番号の事務に必要である時には従業員に番号を求めることができるとなっているので、法律の規定により求められた従業員は原則として届け出る必要がある。
■再質問:リーフレットと同日の15年12月18日付で厚生労働省が修正公表した「雇用保険業務等のQ&A」のQ2ではリーフレットとは違い、番号を記載した届出を義務付けているのは雇用保険法第7条であり、番号法第14条は従業員から個人番号の提供を求めることができるという規定だと説明している。番号法で記載を義務付けているという説明は、他の省庁はしていない。リーフレットは間違っている。)
➡回答:おっしゃる趣旨は理解したので、これは持ち帰り検討したい。

4-2 民間事業者は個人情報関係事務実施者であり、雇用にあたって個人番号の提供を拒んだ場合の扱いについては、利用事務実施者である国税庁や厚生労働省の判断に従うものと考える。国税庁等は、提供を求めるが提供されない場合はその記録を残すように求めつつ書類は受理し、そのことで不利益な扱いはしないと説明されている。
しかし、提供しないことにより採用されなかったり、雇用継続ができない事態が現実に危惧される。労働行政の中で、このような事態が起きないよう指導すべきではないか。

➡回答:公正な採用とは、その職務に対して適正な能力が有るかを見るものであり、番号を出す出さないとかはその適正な能力を有しているかを見極めるものではないので、番号を出さなかったことのみで採用しないというのは適当ではない。公正な採用ではないという場合は、厚生労働省、ハローワークに相談してほしい。
■再質問:番号記載の住民票では認めずに通知カードのコピーを求めるなど、番号法施行規則と違う本人確認を求めている例がある。番号利用事務実施者である国税庁などが認めている書類を、そこに提出するための事務を行う事業者が認めない扱いは許されるか)
➡回答(内閣府):実際に本人確認する者が確認方法を限定しても、直ちに番号法に違反することはない。
➡回答(個人情報保護委員会):ケースをみて個別に判断することになる。
➡回答(個人情報保護委員会):委員会で設置している苦情斡旋相談窓口は、マイナンバーの取扱いについての相談にはのれるが、労使関係上の不利益に関する相談は、内容にもよるが扱いかねる。

4-3 図書館でボランティア(無報酬)に従事している人からの質問(静岡)。従事日数に応じて、交通費のみ支給(市役所より)されているそうだが、この支給のため、マイナンバーの提示を求められたとのこと。提示を拒否したら、「他のボランティアは皆申告したのに拒否するのはあなただけだ。もし言わないなら、支給できないし、ボランティアも断るかもしれない」と言われた。
  ○これは脅しである。求める側は義務かもしれないが、番号の提示側には
   義務ではない。
  ○交通費の支給に番号申告は必要か(法的根拠は?)
  ○個人番号関係事務実施者への教育は徹底しているのか。

➡回答:ボランティアへの交通費支給で番号を求めることはない、どういう事例か教えてほしい。
■説明:無報酬で給与ではなく、バス代が支給されている。
➡回答:理解しかねる。市役所に聞いていただきたい。

4-4 民間保険会社で年金支払いを求めたら、マイナンバーの提出を求められた。

➡回答:国税庁の担当。

4-5 就業規則によって番号提供を義務づけたり、個人番号カードを社員証として利用強制したりすることは、前回の答弁では「労使」、「民民」の関係に政府が介入しないということだった。
しかし、番号法では番号提供に法的義務が課されていない以上、強制することは番号法違反となると考えるが、いかがか。個人番号カードも番号法第17条では「その者の申請により」交付するものとしている。その社員に申請の意志がなく、申請行為抜きに社員証として個人番号カードを持たされるのは明らかに番号法違反である。この点はいかがか。

➡回答:番号法ではカードは申請となっている。社員証に使うのはあくまでも民民の関係なので、番号法違反にはならない。
■再質問:マイナンバーカードを社員証として利用することは番号法違反なのではないか。番号法17条には「申請により交付する」とあり、一律にマイナンバーカードを社員証として利用することは、申請したくない社員にまで取得を強制することになる。
就業規則によってマイナンバーカードを社員証として利用することを明記することは、マイナンバーカード取得を強制することにつながり、それを拒否した場合、就業規則違反となってしまう。
➡回答:内閣府:カード取得は申請行為がないと出来ないので、一方的に交付することは事実上出来ない。申請されなかった方に市町村長がカードを渡すことはない。取得の意志の表明に至る過程がどうなるか、というところまでは番号法の関知するところではない。
■再質問:就業規則でマイナンバーカードを社員証として利用すると明記することが、番号法に違反しているのではないか?
➡回答(厚労省):違反しません。
■再質問:国家公務員は今年4月から省庁ごとに順次マイナンバーカードを職員証として利用すると聞いています。
マイナンバーカードを職員証として利用したくない職員に対して、マイナンバーカードでない職員証を発行するという準備は進んでいるのでしょうか?
➡回答(内閣府):各省庁がどう準備しているかは承知していない。内閣府では「申請しておくように」という案内は来ている。それに対して取得しなかった場合どうなるかは全体に周知されていない。
■再質問:この点が最も重要です。番号法の趣旨からいってマイナンバーカードを申請したくない職員には、別の職員証を用意しないとおかしいですよね。
➡回答(内閣府):私どもは国家公務員なので、もう取るということになれば、申請して取得する立場だ。
職員証を作るのにお金がかかっており、個人番号カードを使ってコストを安くできればいい。
■再質問:全国の労基署に対して指導を徹底すべきではないか。
➡回答(厚労省):手続的に瑕疵があるなら労基法違反なら指導が及ぶ。中身については監督権限はなく、労使紛争ということなら、総合労働相談窓口があり、斡旋等を行っている。

4-6 2015年12月30日東京新聞は、健康保険証の番号など全国10万3千人のリストが流失したと報道した。健康保険証は本人確認に使われるが、保険証を偽造すれば、個人番号カード申請や、通知カード再発行などにも大きな問題になる。厚生労働省が調査しているが、事件の原因究明が全くされておらず、早急にするべきと思うが。
また、厚労省から自治体担当者に「各保険者における被保険者からの申し出による被保険者証の記号及び番号の変更等の対応を要請する考えであり」と事務連絡があったが、本人が要請するのに、情報漏えいされた者かどうかをどのようにして本人は知るのか。何らかの通知がくるのか。

➡回答(厚労省保険局総務課):保険証番号が現在も使用されているか、情報流出経路に関して1月上旬、保健所に調査依頼中。流出したのは2008年以前の被保険者番号、氏名、住所、電話番号等で病歴等の医療情報は含まれていない。もし、現在も使用している番号なら本人申請で番号変更することを検討中。
Note
この質問は、福島みずほ参議院議員(社会民主党)事務所の設定で実現しました。この報告書は、やり取りを録音し、共通番号いらないネット事務局でまとめました。よって、文責は当事務局にあります。
引用の際は、出典として、「共通番号いらないネット 2016年2月12日政府『交渉』報告書より引用」と明記下さい。
*当日政府側から配布された資料はPDFファイルに変換し、この報告と共にアップしています。
 »(a)国税庁:告知義務+別紙1〜3(全7枚)
 »(b)番号記載要する地方税書類(全12枚)
 »(c)番号記載を要する書類の一覧(案)(全6枚)
 »(d)雇用保険関係の事業主向け資料(全4頁)
 »この報告書全文
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