マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2018.8.12 #228
地方税情報の連携にNO! キャンペーン 情報連携 情報提供ネットワーク アクションシート

対象事務が大幅に減ったことなどをふまえ、
キャンペーン「地方税情報の連携にNoを!」を終了します。
これからもマイナンバーの記入を拒否し、情報連携をやめさせよう

 共通番号いらないネットが行ってきた「地方税情報の連携にNO」を!アクションシートの配布と拒否の呼びかけキャンペーンを終了します。このキャンペーンは、地方税関係情報について一部の事務で本人同意がないと情報連携できない扱いになったことを受けて始めたものでした。しかしその後、地方分権一括法により対象事務が減少したことや、マイナンバー提供を拒否すると情報連携を行わない扱いが示されたことなどがあり、終了することにしました。
 共通番号いらないネットはこれからも、自己情報コントロール権を政府に認めさせることを目標に、マイナンバーの記入を拒否して情報連携をやめさせる運動を呼びかけていきます。
 共通番号いらないネットでは、2017年11月の情報提供ネットワークシステムの運用開始を前に、地方税関係情報について一部の事務で本人同意がないと情報連携ができない扱いになったことを受けて、自らの自治体に対して「わたしは『自分の地方税情報』をマイナンバー制度における情報連携のために提供しません!」と宣言し自治体による個人情報の提供を拒否する呼びかけを、2017年9月から始めました(詳しくは、» Q&A「提供しません」 をご覧ください)。
 しかしその後、(1) 「第8次地方分権一括法」1 により対象になる自治体の事務が大幅に減少したことや、(2) マイナンバー提供を拒否すると情報連携を行わない扱いが示されたことなどにより、このキャンペーンを一般的に呼びかけるのはふさわしくなくなってきたため、「地方税情報の連携にNOを!」アクションシートの配布と拒否の呼びかけキャンペーンを終了することにしました。

(1) 対象事務が地方分権一括法により大幅に減少した

 2018年6月19日に成立した「第8次地方分権一括法」で、児童福祉法、身体障害者福祉法、精神保健及び精神障害福祉に関する法律、知的障害者福祉法などが改正され、これらの事務で本人同意を得なくても地方税関係情報が、情報連携のために自治体外に提供されることになりました。

本人同意を不要にするために、福祉サービス対象者に新たな義務と罰則を規定

 この一括法の概要資料 p.7の⑧は、「マイナンバーを利用した地方税関係情報の情報連携を可能とするとともに、入所措置等の費用徴収に関する事務処理において、行政機関が本人等の収入状況に関する報告を求めることを可能とする等の規定を整備(児童福祉法、身体障害者福祉法、精神保健及び精神障害福祉に関する法律、知的障害者福祉法、老人福祉法)」としています。
 これは、収入申告の義務と申告しない場合の罰則を新たに規定することで、行政機関に本人等の収入状況の報告を求める権限を法律に追加するものです。
 本人同意の手間を省くという行政の都合のために、福祉サービスの対象者に新たに義務と罰則を追加するという改正です。私たちはこのような法改正に抗議します。
 この法改正(第8次地方分権一括法)の結果、本人同意が必要な事務が大幅に減りました。そのため一般的に「提供拒否」を呼びかけるのはふさわしくないと判断しキャンペーンを終了しました。

本人同意が必要な地方税関係の自治体の事務は残ります

 なお、一部の事務では法改正後も、引き続き地方税関係情報を他の自治体や関係機関に提供するためには「本人同意」が必要です。生活保護法や公営住宅の事務の一部が該当します。また自治体の独自条例による利用事務でも、引き続き「本人同意」が必要です。
 どの手続きで同意が必要か、同意の手続きはどう行うか、提供を拒否した場合の特定個人情報の取扱いはどうなるのか、必ずしも明らかではありません。政府や自治体はこれらを分かりやすく公開すべきです。

(2) マイナンバー提供を拒否すると情報連携されない扱いになった

 また、2017年11月13日の情報提供ネットワークシステム「本格運用」開始直前、11月8日には、内閣官房と総務省が連名で、「情報連携の本格運用開始に関するQ&A」2 を関係機関に通知しました(この通知は、日本政府ホームページなどでは公開されていません)。

マイナンバーの記入を拒否して情報連携をやめさせよう

 この「Q&A」の中で政府は、申請者がマイナンバーの提供を明示的に拒否する場合は、「情報連携を行わずに申請者に添付書類の提出を求める」ことを自治体に求めています3
 この扱いは法令には明記されておらず、政府は私たちにこの「Q&A」を広報していません。しかしこれにより、他の自治体や関係機関への情報提供を拒否することが可能になりました。
 私たちはこの「Q&A」にのもとづく、マイナンバーの記入拒否と自治体による情報提供の拒否を呼びかけ、広げていきたいと考えています。

(3) 自己情報コントロール権を否定するマイナンバー制度の中止を

 マイナンバー制度は、個人情報の利用や外部提供に対する「本人同意」などの「自己情報コントロール権」を認めていません。番号法22条4 では、情報提供ネットワークシステムにより特定個人情報の提供を求められたら、特定個人情報の提供が義務づけられています。

個人情報の利用・提供における本人同意を制度として欠落している不合理が露呈している

 地方税関係情報では、この番号法の規定と地方税法22条の守秘義務がぶつかりました。
 昨年11月8日の内閣官房・総務省の「Q&A」により、マイナンバーの提供を本人が拒否すると、情報連携の対象事務でも「情報提供ネットワーク」を使った「照会」はできません。
 またDVやストーカー、児童虐待の被害者の情報は、情報提供の対象事務でも自動的な情報提供をせずに、職員が確認する取扱いが指示されています。しかし情報提供をしない扱いは、法律にありません。
 さらに医療情報は機微性が高いために、提供の本人同意など特段の措置を定める法制を整備することになっていました(「社会保障・税番号大綱」5 p.55)。番号法成立にあたり、付帯決議もされています6 。しかし未だ整備されないまま、医療健康情報の情報連携がなし崩しに現実化しようとしています7
 自己情報コントロール権を認めていないマイナンバー制度が、本人同意の必要とぶつかることで、さまざまな問題を露呈してきています。

政府は自己情報コントロール権を認めよ

 世界的には2018年5月から適用されたEUの「一般データ保護規則(GDPR)」8 など、自己情報コントロール権の保障がより求められるようになっています。
 しかし政府はマイナンバー違憲差し止め訴訟において、自己情報コントロール権は憲法13条で保障された権利ではないとの主張を繰り返し、マイナンバー制度による基本的人権の侵害を認めていません。
 それどころか、番号法附則による施行3年後(2018年10月)の見直しとして、戸籍事務等への利用拡大をしようとしています。
 私たちは、個人情報の利用・提供に対する「本人同意」を認めていないマイナンバー制度を、直ちに中止することを求めます。

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