マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2023.9.13 #353
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携帯電話契約の本人確認書類
携帯各社から回答

 携帯電話3社は、今春、相次いで、新規契約締結などにおける本人確認書類として、健康保険証などの取り扱いの終了を発表しました。運転免許証や障がい者手帳などを持っていない人は、本人確認書類としてマイナンバーカードを求められています。
 マイナンバーカードがないと契約ができないのか、8月17日に携帯電話3社に送った質問・要望の回答が届きました。
 今春、携帯電話3社が相次いで、新規契約締結や各種手続き時などにおける本人確認書類として、健康保険証などの取り扱いを終了しています1
 終了後に何を本人確認書類とするかは各社若干の違いはありますが、マイナンバーカード(個人番号カード)や運転免許証等(運転免許証、障がい者の手帳、パスポート、在留カードなど)が求められています。その結果、運転免許証等を取得できない市民にとっては、マイナンバーカードの提示が求められています。
 不正な契約や不正利用等の増加が終了の理由とされていますが、KDDIやソフトバンクはマイナンバーカードの普及状況なども理由としていました。
 マイナンバーカードの申請は任意であり、政府は健康保険証との一体化後も所持は義務ではないことを明言しています。保有率は7割にとどまり、一連のトラブルで返納も広がり、少なくない市民は個人情報の漏えいや個人情報のひも付けに不安を抱き、所持していません。
 そのような中で、本人確認書類としてマイナンバーカードの提示が強いられれば、所持しない市民にとって携帯電話等の利用ができず社会生活が困難になります。
 共通番号いらないネットでは、8月17日携帯電話3社に対し、マイナンバーカードや運転免許証等を利用しない場合の契約等の手続きを保障することを求めて質問と要望を出しました2
 各社のお客様相談室より届いた回答をお知らせします。
 質問・要望は
1) マイナンバーカード等を利用しない場合の契約等の手続きを保障すること
2) マイナンバーカード等を所持・利用しない場合の契約方法について、サイトやパンフレット等に掲載するとともに、販売店に周知すること
の2点ですが、NTTドコモについてはサイトに「上記以外の本人確認書類(官公庁から発給・発行された書類)でのお申込みについては、事前にお問い合わせください。」と記載されているため、その取扱いの説明を、2)とともに求めています。

【回答】

●8月28日付で回答のあったNTTドコモ
1) 弊社としてマイナンバーカードの取得を強制するものではございません。今回の目的は健康保険証を使用した不正契約・端末詐取が横行しているので、あくまでも健康保険証の受付を停止したということをご理解ください。
2) 本人確認書類として受付可能な書類が多岐に渡っているため、コーポレートサイトには代表的な本人確認書類を掲載しております。
 そのため、サイトに記載している書類以外の本人確認書類でお申し込みいただく場合には、お問い合わせいただくようにしております。
3) ホームページおよび総合力タログに掲載し、販売店にも周知をしております。
●8月30日付で回答のあったソフトバンク
 当社では、マイナンバーカードや運転免許証以外にも、日本国パスポート等による本人確認を受け付けております。
 また、手続きにつきましては、弊社HPや力タログ等に掲載しており、販売代理店にも周知させていただいております。
●8月31日付で回答のあったKDDI(au)
 弊社では、2023年8月現在、弊社携帯電話をご契約等各種お手続きに必要なご本人さま確認書類は、以下ホームページに掲載しております。  
  ■au Style/auショップでの各種お手続きに必要なご本人さま確認書類
  https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/verifying/
 ご質問1点目につきましては、マイナンバーカードや運転免許証をお持ちでないお客様についても、上記ホームページに掲載のとおリパスポート等他にもお手続きができるようにしております。ご契約者本人の意図せぬ不正な契約締結や不正利用などの発生を抑止するため、掲載しているご本人さま確認書類でのお手続きをお願いしております。
 ご質問2点目につきましては、ご契約等の各種お手続きに必要なご本人さま確認書類について上記ホームページのほか店頭の書面にもその旨は掲載しており、各取扱店舗にも同内容で周知しております。記載のご本人さま確認書類の提出がない場合、ご契約の手続きをお受けすることができませんので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

【回答について】(筆者コメント)

●NTTドコモの回答について
 本人確認を案内するサイトにも、「上記以外の本人確認書類(官公庁から発給・発行された書類)でのお申込みについては、事前にお問い合わせください。」と記載していました。
 また健康保険証等の扱いを止める理由も、マイナンバーカードの状況は触れずに、「不正な契約締結や不正利用等」の増加のみを記載しています。
  今回の回答でも、マイナンバーカードの取得を強制するものではないと述べ、本人確認書類については受付可能な書類が多岐に渡っているため代表的な書類を掲載しており、記載以外の本人確認書類でお申し込みいただく場合にはお問い合わせいただくようにしている、としています。
 記載以外の書類での扱いを具体的に周知し保障することを要望していたので、残念な回答ですが、文面からは問い合わせにより個別の事情で本人確認の方法を配慮する姿勢がうかがえます。  
●ソフトバンクの回答について
 サイトでは、健康保険証等の扱いを止める理由として、不正な契約締結の増加とマイナンバーカードの普及状況などをあげていました。
 回答では、マイナンバーカードや運転免許証以外に、日本国パスポート等でも受け付けているとだけ書かれています。
 「質問と要望」では、「マイナンバーカードのほか、運転免許証、パスポート、障がい者の手帳、在留カード、特別永住者証明書(以下「運転免許証」等)の提示を求めています。その結果運転免許証等を取得できない市民にとっては、マイナンバーカードの提示が必要になります。」と書いており、「日本国パスポート等でも受け付ける」では新しい説明はありません。
 「質問と要望」に対する姿勢は、文面からはわかりません。
●KDDI(au)の回答について
 サイトでは、健康保険証等の扱いを止める理由として、不正な契約締結や不正利用などのほか、「健康保険証や本人確認書類として利用できるマイナンバーカードの普及状況など」をあげています。
 回答では、マイナンバーカードや運転免許証以外にパスポート等でも手続きできるので、「掲載しているご本人さま確認書類でのお手続きをお願いしております。」としています。そして「記載のご本人さま確認書類の提出がない場合、ご契約の手続きをお受けすることができません」と回答しています。
 「質問と要望」では、本人確認書類として「マイナンバーカードのほか、運転免許証、運転経歴証明書、障がい者の手帳、パスポート、在留カード、特別永住者証明書、住基カード(以下「運転免許証」等)の提示を求めています。その結果運転免許証等を取得できない市民にとっては、マイナンバーカードの提示が必要になります。」と書いており、「パスポート等他でも手続きできる」では新しい説明はありません。
 記載以外の書類では認めようとしておらず、文面からは私たちの要望に配慮する姿勢は感じられません。
●全体として
 健康保険証等を利用することによる不正な契約締結等の実態はわかりませんが、携帯電話会社がそれを防止しようとすることは利用者としても理解できます。
 その一方で、重要な社会インフラとなっている携帯電話・スマホを契約する手段を保障することは、携帯電話会社の社会的責任です。
 その両方をどう考慮するかが問題です。
 3社の回答に違いがあることからも、本人確認の方法については検討の余地があります。
 マイナンバーカードや運転免許証、在留カードなども偽造や不正取得はあり、絶対の本人確認手段ではありません。かつてマイナンバーカードの前身である住基カードの偽造によって、組織的な携帯電話の不正取得が発生し、住基カードの本人確認書類の取り扱いを中止した携帯電話事業者もありました。(「マイナンバーは監視の番号」緑風出版 p.107)
 マイナンバーカードの所持は義務ではありません。
 「運転免許証等(パスポートや在留カード、障がい者手帳等)」は所持できない人もいます。  マイナンバーカードや「運転免許証等」に本人確認書類を限定せず、健康保険証等を含む複数の書類によって確認するなど確認方法を改善しそれを周知して、「携帯電話・スマホを持てなくなるのではないか」という不安の解消をはかることを、携帯各社には強く求めます。

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