マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2020.02.09 #276
確定申告 国税庁 マイナンバー提供義務

確定申告
マイナンバーを書かなくても受理されます

 今年も所得税等の確定申告の時期になりました。毎年「マイナンバーを記載しないと受け付けられないのか」などの問合せが、多く寄せられています。
 マイナンバー法には、番号の記入を義務づける規定はありません。国税庁も他の行政機関も、本人が記載を拒んだ場合は記載がなくても受理し手続きすることを明らかにしています。この扱いは番号制度が始まってから変わっていません。確定申告の17%は未記入です。
 

番号法は、マイナンバーの記入を義務付けていない

 番号法ではマイナンバーの提供を求めることができるだけで、市民に提供の義務は規定されていません。
 番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)では、マイナンバーの提供を求めることは原則禁止で(第15条)、番号法別表第一と自治体の条例に定められた「個人番号利用事務」と、個人番号利用事務に関して必要な限度で利用する「個人番号関係事務」については、提供を求めてよいことになっています(第14条)。

マイナンバーの提供を求める際は、利用目的の明示と本人確認が必要

 マイナンバーの提供が認められている事務でも、提供を求める際は個人情報保護法により利用目的を明示することが必要です1
 また提供を受ける際は、必ず本人確認の措置をとることが義務付けられています(同法第16条)。本人確認では番号確認と身元(実存)確認が必要で2、確認書類がなければ記入を求めることはできません。
 「行政機関の窓口でマイナンバーカードの提示を求められた」との問合せもありますが、これはマイナンバーを記入する場合の本人確認のためです。記入しなければ、マイナンバーカード等の提示は不要です。  

税の確定申告等でマイナンバーの記入は必要?

 税の行政機関では、マイナンバーの利用事務である税の書類にマイナンバーの記載を求めることができます(個人番号利用事務)。また事業者はマイナンバーの利用事務のために、従業員等からマイナンバーの提供を受けることができます(個人番号関係事務)。
 国税通則法第124条や所得税法などにより、申告書や法定調書等の記載事項としてマイナンバーが追加されました。そのため国税庁は記入を義務としていますが、未記入の罰則はありません。なおマイナンバーがない人は、記載を要しません。
 マイナンバーの記載を求める書類は、法令改正で毎年変わっています。
 なお、現在マイナンバーの記載が必要な書類、必要ない書類については、国税庁のWebサイトに一覧があります3

マイナンバーを記載しなくても申告は受理する

 国税庁も、記載がなくても受理することを明らかにしています。以下のFAQを参照してください。

【番号制度概要に関するFAQ】4

Q2-3-2 申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。(平成29年9月7日更新)

(答)

 税務署等では、社会保障・税番号<マイナンバー>制度に対する国民の理解の浸透には一定の時間を要する点などを考慮し、申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも受理することとしていますが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出してください。

 なお、記載がない場合、後日、税務署から連絡をさせていただく場合があります。

 ただし、その場合でも、税務職員が電話で直接マイナンバー(個人番号)を聞くことはありません。税務職員を装った不審な電話にはくれぐれもご注意願います。  

【法定調書に関するFAQ】5

Q1-2 従業員や講演料等の支払先等からマイナンバー(個人番号)の提供を受けられない場合、どのように対応すればよいですか。(平成30年4月27日更新)

(答)

 法定調書の作成などに際し、従業員等からマイナンバー(個人番号)の提供を受けられない場合でも、安易に法定調書等にマイナンバー(個人番号)を記載しないで税務署等に書類を提出せず、従業員等に対してマイナンバー(個人番号)の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

 それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。従業員等との間でマイナンバー(個人番号)の提供の有無を判別できますので、特定個人情報保護の観点からも経過等の記録を行うことが望ましいものと考えられます。

 なお、税務署では、社会保障・税番号<マイナンバー>制度に対する国民の理解の浸透には一定の時間を要する点などを考慮し、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも書類を収受することとしていますが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることから、今後の法定調書の作成などのために、今回マイナンバー(個人番号)の提供を受けられなかった方に対して、引き続きマイナンバーの提供を求めていただきますようお願いします。

(注)マイナンバー(個人番号)の提供を受けられない場合における、「提供を求めた経過等の記録、保存」は法令上の義務ではありません。「いつ提供を求め、その結果として提供を受けられなかった事実」を事後的に明らかにすることが可能であればよく、提供を受けることができなかった個別の事情までは記録する必要はありません。  

【源泉所得税関係に関するFAQ】6

Q1-13 従業員からマイナンバー(個人番号)の提供を拒否された場合、どのように対応すればよいですか。(平成30年4月27日更新)

(答)

 従業員等に対してマイナンバー(個人番号)の記載は、法令で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

 それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。従業員等との間でマイナンバー(個人番号)の提供の有無を判別できますので、特定個人情報保護の観点からも経過等の記録を行うことが望ましいものと考えられます。

(注)マイナンバー(個人番号)の提供を受けられない場合における、「提供を求めた経過等の記録、保存」は法令上の義務ではありません。「いつ提供を求め、その結果として提供を受けられなかった事実」を事後的に明らかにすることが可能であればよく、提供を受けることができなかった個別の事情までは記録する必要はありません。  

「提供を求めた経過等の記録、保存」は義務ではない

 国税庁は事業者に対して、法定調書にマイナンバーの記載がない場合、本人から提供を拒否された経過等を記録しておくように求めています。
 この経過等の記録は「思想調査」になりかねず、その法的な意味や税務調査の対象になるかなどについて、私たち共通番号いらないネットは国税庁に何回か確認しました7
 その結果FAQは何回か修正され、法令上の義務ではないことや、税法の観点からではなく特定個人情報保護の観点、例えば本人は提出したにもかかわらず事業者が紛失したというような事情ではないことを確認するための記録であり、提供を受けることができなかった個別の事情までは記録する必要はないことが明らかにされています。
 またこの記録は下記FAQのように国税当局が確認するものではなく、「税務調査」の対象ではありません。

【番号制度概要に関するFAQ】8

Q3-7 税務調査において、安全管理措置が適当かどうか確認することはありますか。

(答)

 特定個人情報の安全管理措置の適否の判断については、個人情報保護委員会が所掌しており、国税当局は判断する立場にないため、確認をすることはありません。  

未記入でも罰則はなく、手続きも行われる

 国税庁も、マイナンバー未記入の罰則はなく、未記入でも手続きは行われることを明らかにしています。

【番号制度概要に関するFAQ】9

Q2-3-3 税務署等が受理した申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合には、罰則の適用はありますか。

(答)

 税務署等が受理した申告書や法定調書等の税務関係書類にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。  

【源泉所得税関係に関するFAQ】10

Q1-14 扶養控除等申告書に従業員等のマイナンバー(個人番号)の記載がない場合、扶養控除等申告書の提出がないものとして税額を計算しなければならないですか。

(答)

 扶養控除等申告書に従業員等のマイナンバー(個人番号)の記載がない場合であっても、扶養控除等の適用の可否を判断するために必要な事項が記載されていれば、扶養控除等申告書が提出されたものとして税額計算を行って差し支えありません。  

 

Q1-15 扶養控除等申告書に従業員等のマイナンバー(個人番号)を記載させなかった場合、罰則はありますか。(平成28年5月17日更新)

(答)

 扶養控除等申告書にマイナンバー(個人番号)の記載がなかった場合に罰則はありませんが、扶養控除等申告書へのマイナンバー(個人番号)の記載は法令で定められた義務であることから記載を求めるようにしてください。  

確定申告の約17%はマイナンバー未記入

 国税庁が2019年5月に発表した報道資料11では、所得税等の確定申告書へのマイナンバー記載率は83.1%です。前年から0.4ポイントマイナスです。マイナンバー制度開始以降、毎年約17%が未記入です。
 マイナンバー制度を推進してきた榎並利博富士通総研経済研究所主席研究員と須藤修東京大学教授は、2019年5月2日の日本経済新聞朝刊で税務事務でのマイナンバーの記載も利用も低調であることを、次のように紹介しています12

 ここで確認したいのは(3)の「行政の効率化」に役立っているかである。特に地方自治体の地方税業務ではマイナンバーを使った課税資料と住民の自動マッチングで大きな効果が見込める。ただし、不動産や自動車・軽自動車における登記・登録ではマイナンバーが使えないため、地方税で効果が期待できるのは住民税である。

 しかし自治体の現場に確認すると、マイナンバーによる自動マッチングは実施されておらず、従来の業務プロセスのままだ。マイナンバーが記載された電子データは全体の3割程度のため、自動マッチングしてもかえって手間がかかってしまうからだ。

 税務署から送付される確定申告書の写しは電子化されているが、マイナンバーが記録されているのは3~4割しかない。また情報漏えい問題の影響で、日本年金機構からの年金支払報告書にはマイナンバーがない。民間企業からの給与支払報告書の電子化は6~7割程度、かつマイナンバーが入っているのはその3~4割だ。紙の場合には何と1~2割しかマイナンバーが記載されていない。

(「マイナンバー現状と課題(上) 記載徹底、国民理解カギ」
榎並利博、須藤修 日経新聞 2019.5.2)

記入しないことがマイナンバー利用の抑止につながる

 行政機関などの「個人情報利用事務」では、マイナンバーが不明でもJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)に番号を照会できます(番号法第14条第2項。なお民間事業者など「個人番号関係事務」では照会できません)。  
 しかしそれでもマイナンバーの記入を拒否することは、マイナンバー制度に反対することの意思表示になり、基本的人権を侵害する制度を社会的に定着させない力になります。また利用目的を確認することは、行政機関や事業者が誤ってマイナンバーを利用することを抑止し、安易な利用拡大の歯止めにもなります。  
 さらに記入拒否は、マイナンバー制度の目的である情報連携を阻止する効果もあります13。総務省と内閣官房は情報連携開始直前の2017年11月8日付の「情報連携の本格運用開始に関するQ&A」14で、「申請者がマイナンバーの提供を明示的に拒否する場合は、情報連携を行わず、申請者に添付書類の提出を求めることが適切です。」と説明しています(問6)。さらにj-LISへの番号の照会についても、「情報連携のためにマイナンバー法第14条第2項の規定によりマイナンバーを取得することは、行政運営の効率化の趣旨から望ましくなく、原則として本人からマイナンバーの提供を受けるべき」(問7)としています。  
 記入を拒否したにもかかわらず情報連携に使用したことがわかれば、国の指示に反した利用ということになります。

まず違法再委託による税情報大量漏えいの説明を

 マイナンバーの提供を受け記録・保管・利用するためには、安全管理措置を整えておくことが前提です。しかしマイナンバーの付いた税情報の漏えいが、違法な再委託により400万件以上発生しています。
 2018年3月20日日本年金機構が、マイナンバーが記載された扶養親族等申告書等の入力作業を委託したSAY企画が約501万件を無断で海外の業者に再委託していたことを発表し、大きな社会問題になりました。
 国は、海外業者に再委託された中にマイナンバーは含まれていないと説明していますが、その確認はできていません15
 さらにその後、2018年12月に国税庁(東京国税局、大阪国税局)や市区町村から、違法再委託によりマイナンバーの付いた税務情報が、委託元の行政機関の知らないところで海外業者もふくめて提供されていたという漏えいが発覚しました16 17
 マイナンバー法では、委託を受けた業者が再委託する際には委託元の許諾が必要であり、委託元は再委託先、再々委託先・・・まで監督責任を負っています。
 個人情報保護委員会は、委託元に無断で再委託を行った場合には番号法違反及び番号法上の漏えいに該当すると説明しています18
 この無許諾の違法再委託により、現在まで明らかになっているだけで、マイナンバーのついた税情報等が400万件以上も漏えいしています19
 しかし国税庁は、漏えいしたと思われる市民への通知もせず、漏えいの内容について市民への説明はまったくしていません。
 マイナンバーの提供を求めるのであれば、まずこの漏えいの全容を納税者に説明すべきです。

Note

*1 内閣府 »「マイナンバー(社会保障・税番号)よくある質問(FAQ)(4)民間事業者における取扱いに関する質問 Q4-2-2」

*2 内閣府 »「マイナンバー(社会保障・税番号) 本人確認の措置」(pdfファイル)

*3 国税庁 » マイナンバーの記載を要する書類の一覧(2019.4.1現在)
 国税庁 » マイナンバーの記載を要しない書類の一覧(2019.4.1現在)

*4 国税庁 » 「番号制度概要に関するFAQ (2)税務関係書類への番号記載 Q2-3-2」

*5 国税庁 » 「法定調書に関するFAQ (1)法定調書関係(総論) Q1-2」

*6 国税庁 »「源泉所得税関係に関するFAQ (1)扶養控除等申告書関係 Q1-13」

*7 共通番号いらないネットWebサイト投稿 »「確定申告等のマイナンバー記載を国税庁に確認」(2017.3.5)、および »「国税庁にマイナンバー未記入の扱いを再確認」(2017.7.12)参照

*8 国税庁 »「番号制度概要に関するFAQ (3)その他 Q3-7」

*9 国税庁 »「番号制度概要に関するFAQ (2)税務関係書類への番号記載 Q2-3-3」

*10 国税庁 »「番号制度概要に関するFAQ (1)扶養控除等申告書関係 Q1-14」、同「Q1-15」

*11 国税庁 »「平成30年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」 p.1(報道発表資料 2019.5)

*12  »「マイナンバー現状と課題(上) 記載徹底、国民理解カギ」 榎並利博・須藤修(日本経済新聞 2019.5.2)リンク先で全文を読むには会員登録が必要

*13 共通番号いらないネットWebサイト投稿 »「マイナンバー記入を拒否したら情報連携も止まる」(2017.12.20)参照

*14 内閣官房番号制度推進室・総務省大臣官房個人番号企画室 »「情報連携の本格運用開始に関するQ&A」 p.2(2017.11.8)

*15 共通番号いらないネット投稿 »「年金 「再委託」問題はどうなっているか 」 (2018.8.25)参照

*16 国税庁 » 報道発表資料(2018.12.14)

*17 国税庁 »「源泉徴収票等の入力業務の無断再委託事案について」(2019.9.9)

*18 個人情報保護委員会事務局 »「特定個人情報等のデータ入力業務の委託先に対する監督について」(2019.3)

*19 共通番号いらないネット投稿 »「違法再委託によるマイナンバーの漏えいはどうなっているか」(2019.11.14)参照

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